熊猫日誌

熊猫の記憶の物置

映画を観るのが実は好き

ふと気付くと2月は通り過ぎていたし、3月になっていた。
世間は不穏な空気が漂っている。ちょっと落ち着こうな?

-------------------------------

「映画を観る」のが、第一の趣味という時期があった。

この場合は「映画館で観る」に限る。自宅でビデオを観たり、配信を観たりは、当てはまらない。
何故かというと、私には集中力が無い。
「もう絶対にここに座って、映像に没頭しなければダメだよ!」という環境でないと、観ることが出来ない。
自宅だと喉が渇いたからと飲み物を取りに行ったりできるし、トイレに行きたくなったらいつ行ってもいい……が、これが私にはダメ。そこで集中が途切れてしまって、戻るのが難しくなるのだ。
我ながら、非常に面倒くさい人間だと思う。
なのに、映画館に出向くのはそう面倒とも思わない不思議。

昔から映画館へはよく行ってはいたけれど、本格的にはまったのは1997年ごろ。
当時私はライブ熱が冷め、仕事をしながら中国語の勉強を始めていた。
北京旅行の際、行きの飛行機の中で、ある中国映画を観た。
『朱家の悲劇』。1920年台の中国を舞台にした、ピカレスク・ロマン。質屋を営む金持ちとそのボンボン、そして使用人の青年の物語……と、物語詳細は後に中国映画祭で観た時にわかったのだけど、私はその使用人の青年の顔を見て思った。
「このひと、やなさん(柳原陽一郎さん)にそっくりじゃん……」
単に髪型と一重まぶた、そしてその時の衣装が似ていただけなのだけども。この俳優さんは後々いろんな映画で見かけることになるのだけど、実はそれほど似ていないことがわかった。あの第一印象は何だったんだ。
しかし登場人物のビジュアルのお陰でその画面に引き込まれ、観終わる頃にはすっかりその「暗さ」に惹かれてしまっていた。

通っていた中国語学校のおかげで、日本で公開された中国映画の前売券が安く買えた。そういうのもあって、私は足繁く映画館へ行くようになった。
当時、映画公開の初日は、土曜日であることが多かった。だから土曜日は早起きをして、映画館へ出向き初回を観る。終わったらお昼頃だから、軽くご飯を食べて、自宅に帰ってのんびり過ごす。
水曜日は、仕事帰りに映画館。レディースデーを最大限に活用していた。

その後、中国映画から香港映画にも興味が移った。広東語はわからなかったけれど、中国映画で見かけたレスリー・チャンに惹かれて。
さらにたまたま時間潰しで観た韓国映画クワイエット・ファミリー』が、ブラック過ぎて驚いた。それで韓国映画も観るようになった。“韓流”が流行り出す少し前のこと。『シュリ』や『JSA』で、韓国映画にスポットライトが当たり始めた頃。そのヒット作のおかげで日本公開作品も多く出てきて、観に行きやすくなった。
私は快活なラブストーリーよりも、政治を扱ったり、恋愛でも歴史的背景を感じさせる重いものが好きだった。

そんな中、私は結婚した。
夫は当時夜勤メインの仕事だったから、私は仕事帰りも映画館へせっせと通ったし、新居がシネコンから自転車で10分のところだったから、レイトショーも何のその。
しかも夫も映画好きだった。休みが土日と決まっていたから、ふたりで行っていた。
その頃には私はアジアだけではなく、北欧作品も観るようになっていた。邦画もハリウッドも、予告や宣伝を見て琴線に触れたものは観に行った。

やがて2010年頃から夫と休みが合わなくなってきた。またひとりで行こうにも、引っ越してシネコンが遠くなってしまった。駅からも遠い。
そうこうしているうちに3たまを聴いてしまい、翌年にはライブに行き始めた。
となると、予算的に厳しい。映画鑑賞の回数は減ってしまっていた。

しかーし。
たまにではあるけれど、最近は行くようになってきた。パスカルズ大林宣彦監督作品『野のなななのか』に出演をしたことがきっかけだったかもしれない。それで映画のおもしろさを再認識し、都合をつけて何かしら観に行くようになったのだ。
特に50歳を過ぎからは増えた。何故なら。

夫婦50割。

私が50を過ぎたから、使えるようになったのだ。ひゃっほーい。
これ、年齢を証明するものさえあれば、夫婦である証拠を示す必要は無い。なのに、かなりお安い値段で観ることが出来る。(映画館によってまちまち。設定が無い館もある)

夫婦50割を使って初めて観た映画は、『タクシー運転手』(韓国)。なかなかに渋いセレクトだと思う。でもおもしろかった。
あと先日はソン・ガンホ氏繋がりで、『パラサイト』も観た。これ、私はひとりでも行っているから、2回観たことになる。オススメするのは躊躇われるけれど、好きな作品。

f:id:meimei0430:20200314164059j:plain

f:id:meimei0430:20200314164202j:plain
単にソン・ガンホ氏ファンなラインナップ。
上記はいずれもパンフレット表紙。私は映画パンフコレクターでもある。

f:id:meimei0430:20200314164223j:plain

好きな作品はDVDも買う。
韓国ではパク・チャヌク監督とポン・ジュノ監督作品が大好き。
中国だと、ジャ・ジャンクー監督、チャン・イーモウ監督、香港はフルーツ・チャン監督とウォン・カーウァイ監督、台湾ではツァイ・ミンリャン監督の作風が好み。
あとこの方。フィンランドアキ・カウリスマキ監督。

f:id:meimei0430:20200314164144j:plain

昨今の新コロナウイルスのせいで、映画館のようなところには行きづらくなってしまったけれど、やはり好きだし、映画館を応援したい気持ちもあるので、隙を見つけては行こうと思っている。