今年はやはり、母を亡くしたことが一番大きかった。
私は母のことが大嫌いだったし、大好きだった。
これを理解できるひとは、おそらく居ないと思う。自分にもわからないことだから。
50余年、最後までわかり合えなかった。
でもわかりあおうと互いに努力していた。
わかっていると装っていた。わからないと諦めてもいた。
そんな相手が、日に日に弱っていく。
それを目の当たりにするのは、とても厳しいことだった。
「もう限界だよ」とその口から聞くのはつらかった。
同居の妹の方が大変だったと思うけど。
でも。
2022年9月の初めから27日のその日までの、ひと月にも満たない時間が、今、愛おしい。
静かな家の中、母の寝息を確認しながら、雨音を聞いていた午後。あの重くて静かな空気を、私は決して忘れないと思う。
最近よく思い出すのは子どもの頃、両親と妹と四人で囲んだ食卓のこと。
一人ずつ欠けて、いつか“家族”は終わる。
さっきお煮しめを作りながら考えていて、ちょっと泣きたくなった。
「大丈夫」だと言ったけど、まだ全然大丈夫じゃないね。
いつも通りに接してくれた皆さん、本当にありがとうございます。事情を知らなかったとしても、“いつも通り”がどれだけ私を助けてくれたことか。
おかげで少しずつととのいつつあります。