熊猫日誌

熊猫の記憶の物置

パウンドケーキ

ここ数年、やたらとパウンドケーキを焼いている。

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昔から菓子作りが好きではあったけれど、面倒くさがりでもあるからたまにしかやらなかった。キッチンが狭いから、手際も良くなくて掃除も大変。自信も無いから誰かに贈るとかは無く、自宅内で消費するだけ。
それまで100均で買った「何でこんな大きさなの?」という中途半端なサイズの型しかなくて、それで焼くとなんだかおかしな焼き上がりになるから、余計遠ざかっていた。
ところがある日、近所のスーパーで型が売られていたのを見つけて、衝動買いしてしまった。700円くらい。これがすごくよろしい。何故かうまく焼けるようになった。型の素材も影響していたのかもしれないけど、そこはよくわからない。

具材としては、バナナが多い。何故か夫が職場からもらってくることが多いから。職場でバナナ栽培でもしてるのか(していない)。
一度、推しが「庭でたくさん採れたから」とライブの客にお裾分けしてくれた柚子を、砂糖漬けにしてから入れてみたら、香りが素晴らしくよかった。味もマーマレードみたいで、合う。
あとリンゴとサツマイモをバターでソテーしたものを入れたのも、美味しかった。カロリーなんて気にしない!(して!>自分)

味はどうなんだろうか。自分ではまずまずと思っているし、焼いておくと夫は喜んでくれる。レシピはオーブンレンジの取説に載っていたもの。砂糖をきび砂糖にしているだけで、アレンジはしていない。
手作りのお菓子を嫌がるひとが思ったよりも多いことと、掃除をまめにしていても猫毛が入ってしまうかもしれないから、贈り物にはできない。
ただそれらを承諾してもらった上で、友人2人に食べてもらったことがある。好評だった。お世辞だとしても嬉しかった。

子どもの頃、我が家にオーブンレンジがやってきた。まだ電子レンジが普及していなかった時代。
そしたら母がパウンドケーキを焼いてくれた。
ダークチェリーやアンゼリカが入っていた。レシピはどうだったかわからない。味も記憶に無い。ただ焼きあがりは若干パサパサだった。
ところが子どもの頃の私は、こうしたパサパサした焼き菓子が苦手だった。今も口の中の水分が取られてしまうような食べ物は避けるけど、だから焼いてもらってもあまり喜んではいなかった。もともと感情をうまく出せる性格でもなかったから、喜んでいないことはあからさまだっただろう。
そうなると作る甲斐が無くなる。中学にあがる頃には、母のパウンドケーキ作りはなくなった。

成人してからその母のパウンドケーキを食べたくなるというのも、勝手な話ではある。
けれど食べたいのだから仕方ない。
そんなわけで作り始めた。今さら母に頼めないから。

最近は作ることに慣れてきた。
他にもスポンジケーキも焼くし、ガトーショコラも年に1回(バレンタインの時期)は必ず作る。ロールケーキも作ってみたいし、たまにはシュークリームとかもいいな。
でも頻繁に作るのはパウンドケーキだろう。馬鹿の一つ覚えみたいに、ずっと焼き続けていくのだと思う。

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今年、退院した母にパウンドケーキを差し入れした。
ダークチェリーやアンゼリカ、あと貧血気味だというのでレーズンも入れて。
私のすることについては褒めたりすることがほとんど無い母だけど、後日「おいしかったよ。あの緑の、懐かしいね」と言われた。

あれは“アンゼリカ”というのよ、おかあさん。